鍵の壊れた自転車をわっせわっせ担いで最寄りの自転車屋へ.
坂を降りて踏切を越えて,汗をかきかきなんとか到着.
店の中でなんかパンク修理っぽい作業をしていたおっちゃんに
すいません,このチェーン,錠が壊れてるんでなんとか
直してもらえませんか,と懇願.実はその時年齢につりあわない
かわいらしい額しか持ち合わせがなかったので,
チェーンを切ってもらう間にそばのコンビニの ATM で
金を下ろしてこようと思っていたのでした.
自転車の鍵の修理というのはもっとものものしいものだと
思っていたのです.なにせ防犯上切れにくいように
作ってあるものだし,それをごりごり切るのだから
大変な時間がかかるものだと思っていたのです,思っていたのです.
ちょっと見せてな,とおっちゃんにチェーンのかかったままの
自転車とその鍵を渡して,とりあえず鍵を挿してもらう.
かすっ.くるり.ぱちん.
目の前で鍵が開きました.ぼくの口は開きっぱなしでした.
はい,これでタダやで,と言っておっちゃんは自分の作業に
戻ろうとして.いやいやこれはおかしい,と自転車から
チェーンを外した状態で再度鍵を挿そうとしてみると
やっぱり挿さらない.再度視てもらうと今度はおっちゃんも
顔をしかめ,錠のほうへオイルなど吹きかけてがちゃがちゃ.
でもさすがにもうお亡くなりになられたらしい.
最後の最後でなんだったんだおまえの人生は.
新しいチェーンを買う.どれにする? …スペアキーの一番多い奴.
チェーン切断料金はかからなかったので,チェーン代のみで980円.
なんとかその場の持ち合わせで払って,ため息つきながら
自転車に乗って駅まで.なんか釈然としないけどまあいいか.
無機物におちょくられて
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