天然色の化石

あなたが永遠にしあわせでありますように.
そんな記憶を刻みつけながらぼくの骨は
いつか石になってゆきます.化石になれた
ころには,誰も悲しませず生きられますか.

などということを考えながら,仕事帰りに
近所のファミレスでひとりでぽつんと食事.
今日は同居のひとが温泉旅行ということで
あまり人に会わないまま一日が過ぎようと
しております.ぼんやり霞んだ月からただ
ひとこと「寂しいか」と問われたのは,
『幻想の未来』の植物生命体でしたっけ.
手元に文庫本がないので確かめられないや.

ぽてぽてと歩いて帰ると,郵便ポストに
でっかい郵便物が友人から届いてました.
開けてみると「ハンプティ・ダンプティ
言う所の『非誕生日プレゼント』」との
ことで,Bridget Rileyの画集がここに.
うおおお.シドニー現代美術館,および
ウェリントン市民画廊で催されたと思しき
ライリー展で出版されたもの,らしいです.

嬉しさのあまり電話.少しだけ話したけど
夜も遅いのでさっくり終わらせる.やはり
文字とか絵とかはディスプレイで見るより
モノを手に取って見つめたほうがいいなあ.
ホンモノとはいかずとも,モノというのが
ポイントなのかも.そもそも絵画は紙の上に
描かれて成立していた芸術ですからねえ.

ライリーの絵はモノクロのもフルカラーのも
絵の中に引き込まれるようです.単なる錯視と
あなどってははいけないのですよ.もうこれは
たまに心の潤滑油として見る以外は本棚の奥の
奥へ永久保存ですよ.15年くらい欲しがった
甲斐があったというものです.ありがとう.

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