思い出のうちにあなたはいない

朝.微妙に起きる.なんだか世界が
ゆがんでいるような不思議な気分で
ぽつねんとしている.どうしようか.
違和感を抱えながらの昼下がりです.

突然鳴るアラーム.なんだなんだと
考えてみたら,今日は病院の日だと
ここでようやく思い当たる.見事に
きれいさっぱり忘れておりましたよ.
最近こういう記憶の欠落が多いなあ.
12時半からの予約でしたが,すでに
そんな時刻は過ぎているので電話で
連絡をして,17時に変更してもらう.

雨上がりの中,いちおう傘を持って
ぽてぽて歩いて駅へ急ぐ.病院まで
一時間ちょっと.急ぎすぎないよう
テンポ正しく,音楽を聴きつつ進む.

診察.もの忘れが激しいです,とか
愚痴をこぼす.うつろいゆく記憶と
戦わなくてはいけない年齢ですかね.
ともあれそこあたりの焦燥感なども
ありますので,おくすり処方されて
諾々と受け取る.そういやこないだ
おくすり手帳もなくしたんだっけな.
しょうがないので処方シールを全部
持ってきて,薬剤師さんにおまかせ.
新しく手帳を作ってもらってそこに
時系列に沿って貼ってもらいました.

帰宅途中,本屋をおひゃらかしては
ため息をつく.やっかみがまったく
ないとは思わないけれど,それでも
金子みすゞと宮澤章二のコーナーが
拡大し過ぎだと思う.そのほかにも
いい詩を書くひといっぱいいるのに.
もう一歩手を伸ばせばもっと楽しく
豊かな世界があるのになあ,と思う.
思いは見えないけれど思い過ごしは
行動にあらわれる.見えぬけれども
あるんだよ.そういうわけで帰宅だ.

同居のひとと待ち合わせて晩ごはん
食べに行きます.思った以上に量が
あったのでちょっと絶句.それでも
残さず食べたよ.家に戻ったら薬を
仕分けてお休みします.ぐったりと
できるだけ力を抜いてため息をつき
こころのもやもやを取り去りたいね.

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